インド麻(大麻)
科目:アサ科
英名:Indian Hemp
サンスクリット名:Vijaya
ヒンディー語名:Bhang
「神聖な植物」として分類されている。
これを乾燥させたものは「マリファナ」として知られる。インドに行く人の中には、これを入手することを目的にする人もいるというぐらい有名なこの植物は、陶酔成分を含んでおり、ハシシュ(ハシーシ)、あるいはガンジャと呼ばれて、インドを放浪するヒッピー(この言葉、今ではもう死語かな?)たちとよく結びつけられた。日本ではもちろん禁じられている。危ないものというのは好奇心をそそるものでもあのか、ウィキペディアの「大麻」の項にも、かなり詳しい説明が載っていて、読んでみると、なかなか興味深いことも書いてある。
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E9%BA%BB&oldid=9588359
インドでは(古くは日本でも)、この植物は「神聖な植物」とされ、神事に使用されてきたそうだ。私がインド人から聞いたこの植物の使い方で面白いと思ったのは、「ホーリー」として知られるインドの春祭の際の特別な飲み物、bhang(大麻ドリンク?)だ。大麻の葉っぱの部分、ごく弱い陶酔作用しか持たない部分を粉に挽き、甘いミルク飲料に混ぜて作るらしい。それを飲んで、春の収穫祭を楽しむのだそうだ。そのあたりのことが書いてある箇所を引用する。
のちに、'bhang' として知られるようになる「大麻ドリンク」は、放浪の苦行者としてのシヴァ神が唯一嗜むことを許された飲み物とされる。実際、今でも、この陶酔状態にあるシヴァ神は、人々から愛情を込めて'Bhangeri Baba'(大麻ドリンクで陽気になったお父さん)と呼ばれている。
中世において、大麻ドリンクは寺院に導入され、宗教的エクスタシーに達するための儀礼的な飲み物として、祭儀の参加者にふるまわれた。
また、儀式用甘味飲料として、宮廷の楽しみにも取り入れられた。大麻の葉を非常に細かい粉に挽き、6重に重ねたモスリンの布でふるいにかける。それを濃縮したミルクに混ぜ、砕いたアーモンド、蓮の実、黒胡椒、香草、それに糖蜜などで味を整えた。
大麻ドリンクはまた、「ホーリー祭」として知られる盛大な春の祭り、冬の収穫期につづく喜びに満ちた季節、秩序も身分も全て取り払われ、堂々とはめをはずして無礼講を楽しむこの歓喜の祭りの際にも、広く一般の人々に用いられた。
このbhangという飲み物、作り方を聞くと、いかにも美味しそうで、飲みたくなってしまう。でも、インドに行ったとき、ハシシュやガンジャはもちろん、このbhang さえ試さずじまいだった。アルコールにも弱く、タバコも吸ったことがなく、薬もめったに飲まない私の身体は、薬物に対して極度に敏感で、一度、インドの村で「噛みタバコ」をひとつまみ口に入れただけで、空がぐるぐる回ってしまった。そんな人が陶酔作用を持つ植物など摂取したら、きっと大変なことになる。それに、私は「陶酔」という状態全般に対して一種の恐怖を覚える。だから、試してみるのは、きっと死ぬときだ。
ちなみに、古代インドのアーユルヴェーダでは、大麻は偏頭痛や胃けいれんの緩和に使われたそうだ。今日でも、偏頭痛や神経痛に対する薬効が認められているらしい。
「危ないもの」というのは、うまくつき合えば薬になる。これは色んなことに言えると思う。そこらへんが面白いなあと思うのだが、やっぱりこの考え方は危ないのだろうか。
0 Comments:
Post a Comment
<< Home